ご縁があってトーハツランペットが3台入庫中です。
こうやって並べてみますと、なんだか自然とありがたい気持ちになって来るのが不思議です。
きっとそこには名車に一様に備わる、「人徳」ならぬ「バイク徳」と呼べるようなものが漂っているからなのでは?と勝手に思っていますが....。
手前からランペットスポーツCA2、同じくアップマフラーの派生モデルCA2A、そして工場製モトクロッサーのランペットCRとなります。
1963年製のランペットスポーツCA2。
思わず人目を引きつけるハワイアンブルーの塗り色がなんとも当時の日本車離れしていてじつに洒落ています。
またスポーツバージョンとして奢られた数々の専用部品が、通常モデルのランペットとは一線を画しています。
現車は後期型、ウインカー付きの国内バージョンとなります。
入庫してからというもの、店の前を通りかかる人たちに本当によく声をかけられます。
名車ランペットのことを何も知らなくても、なんだか心引かれるオートバイに映るようです。
お次ぎはランペットスポーツのアップマフラーバージョン、1964年製CA2A。
トーハツがオートバイ生産をストップする直前に型式認定を受け、ごく少数のみ生産されたというCA2シリーズの最後を飾った車両になります。
現存数は日本国内でも数台が確認されているのみですが、現車はアメリカ、カリフォルニアでワンオーナー車両だったもの。
オリジナルオーナーのファーストバイクとして活躍したあとしまい込まれたものが、後年手直しを受け、そのままになっていたのが里帰りしたものです。
欠品パーツもありましたが、おかげさまで国内のランペット愛好家の方々から貴重な部品を譲り受けて、近々往時の姿を取り戻すべく復元予定です
そして最後は工場製モトクロッサーとして輝かしい歴史を誇るランペットCRモトクロッサー。
市販車の3速に対して4速ギアを装備したところが最大の違いとなります。
現車はCRシリーズのなかでも、後期型の2次クラッチ方式へと設計変更されたエンジンとなっています。こちらも新車当時からワンオーナー車だった貴重な個体で、1966年の全日本モトクロスでの入賞戦績も公式に残されているという輝かしい歴史を誇ります。
1966年と言えば、既にBS50などがキットパーツを装着したモトクロッサーとして出始めていたじきですから、その頃型遅れになっていたランペットが、そうした新鋭マシンに伍して戦っていたというのもこれまた良い話です。
当時の貴重な姿をこのまま留めてもらいたいものですが、経年により傷みが生じて来たこともあり、オーナー様のご依頼により今回しっかり仕上げることになりました。
こうして並べてみると...Oさん、ランペットやっぱり「めんこい」です!
ちなみにCA2Aはこれから仕上げてのち販売予定となりますのでご興味のある方はお問い合わせ下さい。