1967年デビューのBridgestone 100スポーツ入荷しました。美しく、品のあるオートバイです。
BS90から3mmボアアップが図られ、100ccとなった初のモデル。翌68年には単気筒モデルが全てパイプフレームへと移行したこともあり、プレスフレームに搭載された100ccモデルとしては唯一となったのが、この100スポーツです。ほんの1年間という生産期間の短さもあって、BSオートバイ史の中でも貴重な1台となります。BS90を見慣れた目でこの100スポーツを見ると、ひと回り大きくなったシリンダー&シリンダーヘッドがぎゅうっと詰め込まれた感じに見え、何とも言えない迫力があります。
BSオートバイ、輸出仕様車のイメージカラーでもある「フランボヤントレッド」と呼ばれた鮮やかなキャンディレッドにガソリンタンクのBRIDGESTONEのロゴがよく映えます。近くで見ると、白ベースにグレーを配した60年代テイストあふれた意匠のロゴデザインです。走行距離も2,500kmと少なく、全体も上尾工場出荷時のオリジナルコンディションをよく留めています。またオイルインジェクションと呼ばれた分離給油の潤滑方式が採用され、車体右側にオイルタンクが装備されていますので、混合方式に較べ使い勝手も向上しています。
BS90/100シリーズのプレスフレームは、特異なモンローフェンダーの形状で知られた90スポーツ(EA2)以外は全て共通のフレームを使用していました。実用車のBS90スタンダード、山岳&不整地走行用のマウンテン、スポーツ指向のツーリング&スポーツ(EA4)、さらには競技用のモトクロス&ロードレースまで....といった豊富なラインアップの全てをこれ1本でまかなった優秀なフレームです。そうした数多い派生モデルの差別化が図られ、それぞれの特徴を出すためにデザイン面でもよく考え抜かれていたことに感心させられますが、その中でもスポーツ車としての方向性を目指す中で設計された、この100スポーツのシートデザインは秀逸だといえるでしょう。全体としては薄型、なおかつCHP仕様の楕円縦長のテールレンズの規格を上手く利用して、これをアルミトリムで包み込み、かつシートストッパー的に後端を絶妙にリフトアップしたところなどはお見事という他ありません。これは350GTRとともに、70年代に流行したシートカウルデザインを早くに先取りしたものだったのではないかとひそかに私は思っています。ちなみに以前、この格好良いシートをBSパイプフレーム車に装着できないだろうか?とトライしてみたことがありますが、あまりにも似合わなかったことにがっかりしたことがあります。でも実はそれこそが、このシートが如何にして共用のプレスフレームを使って、スポーツ車らしく格好よく見せるために考え抜かれたデザインであったのかということに気づかせてくれるきっかけとなりました。ちなみにランブレッタでも英国仕様車に、同様の薄型の別注「ペガサスシート」が装着されている車両があり、それだけでも全体の印象がずいぶん変わって見えるものだと思っていましたが、あらためて二輪車におけるシートデザインの重要性を感じさせてくれる、という意味で、私にとっては共通の根っこを持つ出来事です。
さてさて、マシンの現状は実働かつ調子も良いです。もちろん納車に際し、BSオートバイに関し細かい目配りの行き届いた密林商會整備メニューをひと通り施してからのお渡しとなります。詳細についてはお問い合わせ下さい。
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