1966年(昭和41年)、一般のライダーにとってオートバイレースといえば未だモトクロスが中心だった時代。船橋サーキット、富士スピードウェイが完成したことで、ようやく関東でもロードレースが開催されるようになってきました。そうした背景もあって、ブリヂストンサイクル工業からもBS50/90をロードレーサーに改造するための各種キットパーツが発売されました。ただ、そうは言っても当時もごく限られた需要だったため販売数も少なく、現存しているものはどれも貴重です。
そこで、BSをはじめとしたクラシックレーサー製作で長年実績のある、愛知県豊橋市の「モトファクトリーBIGMAN」さんとのコラボ企画により、キットパーツシートのレプリカがこの度完成しました。実はオリジナルは鉄製でけっこう重量もあったので、新規で木型からシートベース原形を起こし、レース用としてより軽量化をはかるためFRPで製作。またフレーム固定用ステイも、オリジナルを忠実に再現して製作されました。
(画像左がBS製オリジナル、その隣が今回製作されたものになります)
その詳細は「モトファクトリーBIGMAN」さんの製作記ブログでご覧いただけます。ぜひご覧下さい。
http://blogs.yahoo.co.jp/romeo_1820/folder/276844.html
BS製オリジナルはレース用シートとしては座面巾がやや広めに取られていたため、今回製作のシートベースでは、よりフレーム巾に沿うよう「細くレーシーに」というコンセプトに基づいて、片側10mmずつ巾を詰めてスリム化されましたが、これもレースに長く携わってきた同社ならではのきめ細かいこだわりです。シート表皮の張り込みはオリジナルのスポンジ(なんと!BSエバーソフト使用)の構成&カッティングを参考にしました。また印象的な後面の「BS」ロゴも版を起こし、シルクスクリーンプリントを施してあります。
上の写真はキットパーツシートを取り付けたBSロードレーサーの姿をよく伝えてくれる一葉です。1966年(昭和41年)夏〜秋頃、BS上尾工場スクランブル事務室前で撮影された滋野靖穂選手のBS90工場製ロードレーサー(日本GP優勝車)。タンクのカラーリングから判断して、おそらく66年日本GP前のある時期に撮影されたものだと思われます。あくまでBS市販キットパーツシートを使用しながらも、より自身のライディングスタイルに合わせるため座面のアンコ抜きを施しているところなど、そのリアルな「実戦仕様」を伝える姿に感動を覚えます。
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